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書評「THE ESOPHAGUS」
遠藤 光夫
1
1東京女子医大付属消化器病センター
pp.1544
発行日 1979年11月25日
Published Date 1979/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107847
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著者の一人Prof. Savaryは,E.N.T.(耳鼻咽喉科)の専門家であり,Dr. Millerは消化器内視鏡医である.本書は,著者らの永年の経験の集大成ともいうべきもので,260葉以上にも及ぶ美事な内視鏡カラー写真が収められていて,食道疾患のすべての部門が網羅されている.食道鏡検査には,従来より硬性鏡とflexible fiberscopeとが用いられていて,本書には,両検査法の手技,適応などが紹介されている.ただ,両者の適応について,fiberscopeは食道・胃・十二指腸球部を一度に内視できるPanendoscopeとして意義があり,食道の専用器種としてはやはり硬性鏡とレンズ系テレスコープの記録写真をあげているのは,欧米の研究者とくにE.N.T. doctorsの考え方で,本方面の第一人者である著者らも,このように考えていることは興味深い.
各論に収められているカラー写真は,大変きれいで,各疾患の特徴をきれいに出していて,一目で,その疾患の性状がわかるものばかりを提示している.気管食道科関係の医師や,内視鏡専門医は勿論のこと,消化器病関係のものにも飽かせることなく一気に読ませてしまうが,また何か食道の疾患名がでてきたときに,どのような疾患であったかなというような折にふれ頁を開くというような利用法もあり,座右の書として誠にふさわしい書物である.
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