--------------------
書評 THE整形内科
井樋 栄二
1
1東北大学大学院整形外科学分野
pp.155
発行日 2017年2月25日
Published Date 2017/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200748
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
まず,書名を見て驚いた.整形外科診療の中でメスを持たない診療形態に対して整形内科という言葉を会話で使うことはあるが,書籍のタイトルになっているのを見たのは初めてだからである.本書は,月刊誌「治療」の特集「THE 整形内科」が爆発的に売れたことを受けて,現場のニーズに応えようと特集内容を1冊の本にまとめたものである.編者は隠岐で僻地医療に携わる白石吉彦先生・裕子先生ご夫妻,エコーの伝道師と言われる秋田市で開業する皆川洋至先生,そして弘前大学病院に勤務する総合診療医,小林只先生という異色の組み合わせである.この4人を結びつけるキーワードは僻地医療,総合診療医,エコーである.僻地医療を担う医師には高い専門性よりも広くすべての疾患に対応可能な総合診療医としての能力が求められる.僻地医療ではとくに高齢者の運動器疾患の占める比重が大きい.運動器疾患の的確な診断と治療はMRIやCTがなくてもエコーを上手に使えば十分に可能である.これが本書の伝えようとしているメッセージである.
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.