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書評「ウイルス肝炎―急性肝炎から肝癌まで」
太田 康幸
1
1愛媛大学
pp.1640
発行日 1976年12月25日
Published Date 1976/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107494
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ウイルス肝炎は戦場で兵士のあいだに流行したことから,流行病としての病態が早くから明らかにされていたが,その病原ウイルスに関しては,既知のあらゆる手法を用いても分離できず,A型,B型という2つのウイルスが想定されていながら幻のウイルスとさえいわれ,その分離同定が待望久しいものがあった.
B型肝炎の病原ウイルスに深い関連性をもつHB抗原の発見は,血清タンパクの研究者であるBlumbergによって発見されたオーストラリア抗原であるが,肝炎との関連をはじめて指摘したのは,著者の1人,鈴木宏博士と同門の現九大臨床検査部の大河内一雄教授の功績に負うことが大きい.鈴木博士は厚生省の血清肝炎研究吉利班の事務局にあって,班研究のまとめ役として活躍され,難治性肝炎研究の織田班になっても引き続きHB抗原研究班の中枢にあり,該博な臨床経験と相俟ってウイルス肝炎研究の第一線にある研究者である.
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