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編集後記
常岡 健二
pp.1517
発行日 1976年11月25日
Published Date 1976/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107480
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最近の消化管内視鏡は,その本来の立場である肉眼診断にとどまらず,組織診断を可能にし,さらには治療の一端を担うに至った.ここ10年の間に,内視鏡下の治療応用として,異物摘出,消化性潰瘍の局所注射,緊急止血,polypectomy等があり,また最近では本特集の主題である乳頭括約筋切開術も行なわれるようになった.内視鏡polypectomyはすでに広く普及し,アンケート調査にもある通り,多数施設が多数例の経験を積むに至っている.このような現象は,はやくから予想されてはいたが,これほど身近なものになるとは思っていなかった.
消化管polypectomyについては,その有用性の主体を治療におきたい気持を捨てがたいが,現在では組織診の正確さ,完全生検に応える最良の方法として本法を認めるべきで,治療そのものは従属的とするのが妥当のように思う.もっとも,大腸のポリープ癌に対する本法による治療の是非については近い将来明らかにされるであろう,アンケート調査にもある通り,出血・穿孔その他の事故例も決して少なくはないので,十分慎重な態度で本法の実施にあたられることを願うものである.
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