胃と腸ノート
疣状胃炎に合併した早期胃癌(6)
村島 義男
1
,
八百坂 透
1
1札幌厚生病院消化器科
pp.614
発行日 1976年5月25日
Published Date 1976/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107238
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〔症例6〕T. S. 66歳 女(早期胃癌検診センター例)
Fig. 1は幽門前庭部の圧迫像で,大きさ3.5×2.0cmの蛇行形の粘膜隆起がみられ,完全な環状ではなく大彎側の開放した馬蹄型を呈している.周辺粘膜をみると粗大顆粒状のアレア像があり,それらはFig. 2の圧迫像では粘膜ヒダの上にのり,軽度の連珠状配列を認め,一部は小彎軸に平行に“タテー列”を示している.以上より疣状胃炎と診断したが,Fig. 1の小彎の蛇行型隆起は周辺の隆起より目立ちⅡa+Ⅱc型の早期胃癌を疑った.
肉眼及び組織学的所見:幽門部粘膜は粗大顆粒状変化を示し,一部ではポリープ状あるいは蛇行型の隆起を来した疣状胃炎である.小彎の蛇行型の隆起は中心陥凹を有し,周辺に比して目立ちⅡa+Ⅱc型早期胃癌が考えられる(Fig. 3).組織学的にはFig. 4のように隆起した部分は幽門腺の著明な過形成よりなる疣状胃炎を示し,その中心陥凹に一致して粘膜内癌をまたこの部位に接した口側隆起の表面には異型上皮を認めた.一方,幽門部の顆粒変化も疣状胃炎を示し,腸上皮化生はほとんど認めなかった.
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