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書評「Harrison's Principles of Internal Medicine」
黒川 清
1
1東京大学医学部
pp.588
発行日 1984年5月25日
Published Date 1984/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107040
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ハリソンの内科書の第10版が出版された.内科学の世界的な教科書であり,内科医であれば,まずその一部でも目を通さなかった人はいないはずである.私は学生のころ,また入局したころにハリソンの第3版を手にしてその膨大さ,字の細かさに圧倒された記憶がある.また,もっと近年では第6版を全部読んだことを覚えているが,それ以後も第8版を買い求めている.初版以来30年余になるが,特に第7版以後は3年ごとに改版されている.これは並大抵のことでできることではなく,編者・著者の努力に頭が下がる.
この改訂第10版は6部45節に分かれ,その下に377章が配分されている.これは旧9版の383章より少ないが,これは主として第4部感染症,特に第9,10節の真菌症,リケッチア感染症を新しく大別し直したことによる.新版の構成には各所に新しい配慮がなされており,また内科学の進歩に伴って必要な新しい章が加えられている.構成については,内分泌学,腫瘍学をまとめて,各臓器別各論を扱った第6部から,代謝総論,代謝疾患などを扱った第3部に移してあるのは適切な処置であると思われる.また,ホルモン受容器と情報伝達系総論と,各論としてアデニルシクラーゼ系の章が新たに加えられている(第3部6節),また,プリン体代謝異常とB-,T-リンパ球異常による免疫不全症に関する章(第95章)も新しく加えられている.
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