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書評「消化管内圧測定法」
角田 昭夫
1
1神奈川県立こども医療センター
pp.94
発行日 1984年1月25日
Published Date 1984/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106939
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小児外科のいわば同好仲間から必然的に誕生した“直腸肛門内圧研究会”が,その後食道内圧を含める“小児消化管内圧研究会”に発展し今回で第13回を数えている.当研究会の集大成が本書であり,研究の中心的存在であった葛西森夫教授が監修されている.
序論に消化管内圧測定の,歴史的変遷が示されており,興味をそそる.それによれば研究会とは逆に,まず発達したのは食道内圧研究のほうだったらしく,この理由としてはやはり,食道裂孔ヘルニア,逆流性食道炎が,特に白人に多い点が挙げられよう.一方,Hirschsprung病の本態が拡張腸管にはなく,肛門側狭小部にあることがわかったのが1950年ごろであり,更に本症における直腸括約筋反応欠如が発見されるに及んで,こちらのほうの研究も急速発展したもようである.前に食道内圧の研究が先行したと述べたが,当初はprimitiveなもので,測定器具の開発などの関係から,その研究が進んだのは最近であるという.つまり測定しやすいための好条件を備えた部位である,消化管の入口と出口の内庄測定は並行して進められ,共に急速に発展したのが1960年代後半ごろだったらしい.
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