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海外文献紹介「照射により誘発された大腸癌:リスクの評価」
小林 世美
1
1愛知県がんセンター第1内科
pp.88
発行日 1984年1月25日
Published Date 1984/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106937
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Radiation-induced cancers of the Colon and rectum: assessing the risk: RS Sandler, DP Sandler, (Gastroenterology 84: 51-57, 1983)
骨盤内照射を受けた人は大腸癌の高危険群と考えられている.これは多くの症例報告で裏付けられている.照射による腫瘍の基準は,BlackとAckermanによれば,照射から癌の診断まで10年以上の経過を要すると提唱され,これが広く採用されている.しかしながら,すべての基準が合致してもなお,照射域での腫瘍は偶然の発生もありうる.特に照射域は元来大腸癌がしばしば発生する所であるからだ.Castroらの報告は最大のシリーズで,26例の子宮癌照射後の大腸癌を報告している.半数以上が無症状で腫瘍の部位に慢性の放射線炎症を認めた.症例の69%は照射後10年以上を経過し,58%が放射線に関連のある組織学的変化を示した.膠様癌が一般シリーズでは10%であるのに比べ,照射後癌では58%を示した.他の研究でも子宮癌照射後の大腸癌が予想より多いことを示している.したがって,子宮癌で照射を受けた女性は,大腸癌の高危険群とみなされるが,婦人科系の悪性腫瘍患者は,もともと第2の原発癌を大腸で起こす危険が大きいと言われているので問題は複雑である.
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