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書評「臨床外科クリニック「イレウスの治療」」
石川 浩一
1
1関東労災病院
pp.474
発行日 1992年4月25日
Published Date 1992/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106854
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大垣市民病院の蜂須賀喜多男院長は既に腹部外科学の臨床について大著を出版しておられるが,今回更に「イレウスの治療」を同病院磯谷正敏外科医長と共著で刊行された.本書は医学書院の「臨床外科クリニック」シリーズの1冊で,修練中の外科医に対して外科方面の基本疾患の個々について手術の考え方や術式の基本を解説するように企画され,B5判の縦を少し縮めた判型の本文100頁前後で,病床側でも寸読できるような軽快な装丁となっている.
蜂須賀院長らは,腸管内腔の閉塞や腸管の運動障害などによって正常な腸管内容の肛門方向への通過が障害される病的状態を「イレウス」と定義し,単純性と絞扼性を含む機械的イレウスと,麻痺性と痙攣性を含む機能的イレウスとに分類し,それらの頻度,原因,病態生理,次いで身体所見・画像検査・血液生化学検査などによる臨床診断法,鑑別診断,更に保存的および手術的治療法の適応・選択・方法などを明快に解説している.次いで,イレウス患者について術前の検査と処置と麻酔,術後管理を,手術について方針・手順,病態ごとの変化への対応などを述べ,最後にイレウスの手術成績を国内国外の資料を参考にして,御自身の経験794例について分析している.この間,多くの資料を図と表を用いて解説し,これに貴重な御経験症例の画像を多数添えて読者の理解を助け,また手術術式を多数の簡明な線画で解説している.
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