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書評「開業医のための消化器クリニック」
多田 正大
1
1多田消化器クリニック
pp.572
発行日 2000年3月25日
Published Date 2000/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104674
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医療が高度化するに伴なって,医師が修得しなければならない知識や技術があまりにも膨大になり,その結果,自らが得意とする分野とそうでない領域の格差が拡がってしまった.特に専門医が大勢いる大病院の勤務医は自らの専門分野にのめり込み,異なる領域の疾患や臓器については関心が薄くなる傾向がみられるが,現代医療のpitfallである.京都・仁和寺の歴代の御抱え庭師である佐野藤右衛門氏は著書「桜のいのち庭のこころ」(草思社〉の中で,専門化された現代医療を痛烈に椰楡している.その内容を要約すると"昔の町医者は患者の家族構成,生活環境,食生活まですべてを把握しているので,病人がでてもすぐに対応できる.ところが今の病院では,医者は患者を診ずに検査データばかりで判断している.これでは良い医療にならない."という主旨である.
何とも耳の痛いところである.
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