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書評「今日の検査指針 第2版」
今中 孝信
1
1天理よろづ相談所病院総合診療教育部
pp.312
発行日 1992年3月25日
Published Date 1992/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106753
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今日の医療に臨床検査が必要欠くべからざるものであることはいうまでもない.症状・症候の客観的把握から疾患・病態の診断,重症度・予後の判定,治療中の病状と副作用のモニター,治癒判定に至るまで臨床検査が利用されている.最近では,病気の早期発見・予防のための検診や健康診断にも成果を挙げている.この背景には臨床検査,特に検体検査の目覚ましい進歩がある.分析装置の発達と精度管理手法の研究開発により検査データの信頼性は著しく高くなった.今や,検査の自動化・簡易化とあいまって,臨床医はいつでもどこでもすばやく正しい臨床検査のデータを得られるのも夢ではなくなりつつある.
このような臨床検査の進歩自体は素晴らしいことであるが,これを利用する臨床医は“多々益々弁ず”ではすまされない.患者の受けるいろいろな負担,特に医療費の高騰が健康保険制度を圧迫しつつあることは周知の事実である.今こそ臨床医は何を目的として検査を選び,組み合わせ,その結果をいかに読むか,という検査の基本を身につけなければならない.とはいえ,検査の専門分化は著しく,保険診療に採用されている検査項目だけでも700種類を越えており,その全域にわたって専門的知識を持つことは不可能である.では,どうすればよいのか.このニーズにぴったりと応えてくれるのが,このたび版を改められた「今日の検査指針」である.既に評価の定まっている「今日の治療指針」と「今日の診断指針」を合わせた三部作の1つである.
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