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書評「腹部血管造影・IVRにおけるバルーンカテーテル・テクニック」
平松 京一
1
1慶應義塾大学放射線診断科
pp.275
発行日 1992年3月25日
Published Date 1992/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106747
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経皮血管カテーテル法は診断面では血管造影検査に,また治療面はinterventional radiology(IVR),特にinterventional angiographyにおいて大きな役割を演じている.カテーテルも高度に発達してあらゆる目的に対応した種類が作られ広く普及しているが,中でもバルーンカテーテルの出現は血流の遮断ならびに血管狭窄部の拡張を可能にした点で多くの可能性をもたらした.診断面では圧測定にはじまり,造影効果の向上に果たした役割は大きいし,治療面では一時的止血,血流遮断下の動注,効果的塞栓術への応用などのほか,IVRにおける新しい展開ともいえる血管形成術PTAに対する役割など広い範囲に役立っていることはいうまでもない.
今回バルーンカテーテルに的を絞って,その構築,種類,特徴,使用法などに関する詳細な説明を盛り込んだテキストブックが新進気鋭のinterventional radiologistである大阪大学の中村仁信講師,鳥取大学澤田敏助教授,防衛医科大学校古井滋講師の3先生によって出版された.本書の特徴はまずカテーテルの材質にはじまり,各種バルーンカテーテルの写真ならびにシェーマを用いたその構造,目的血管への進め方など実に行き届いた説明が加えられ,バルーンカテーテル挿入に併用するシースイントルデューサーやガイドワイヤーなどの使い方にいたるまで詳細に記載されている.IVRにこれまで携わってきた専門家でさえ,バルーンカテーテルにはこのような多くの種類があったのかとその認識を新たにするはずである.またその使用法,挿入テクニックにいたるまで驚く点が多々あるに違いない.
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