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書評「今日の外来診療」
福井 次矢
1
1佐賀医科大学
pp.706
発行日 1990年6月25日
Published Date 1990/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110958
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本書は,川上武先生の御指導のもと,みさと健和病院と柳原病院の先生方が中心となって,“わが国の土壌にねざした外来診療の技術的整理”を行ったものである.
本書を読んでみて強く感じることは,執筆者の先生方の問題意識にかなり共通性があり,外来診療に関わる種々の今日的な問題点がわかりやすく浮き彫りにされていることである.第1章外来診療のアプローチとシステム,第2章外来診療の進め方,第5章他疾患へのアプローチ(精神疾患,職業起因性・環境関連性疾患),第6章往診の実際,などに,患者の立場を尊重し,有効で効率的な外来診療を実践するための具体的な指針を示すとともに,診療所・病院のシステム,病診連携,更には医療・社会システムというマクロからのアプローチも不可欠なことが随所に適切に述べられている.純粋に医学的な問題について,しかも,“医療者の側の芝生”で診療を受ける入院患者と異なり,外来患者は“患者自身の芝生”で医療を受ける.したがって,外来医療には心理社会的な問題点,種々の医療行政に関わる問題点がとりわけ強く反映されるものである.本書には,そのような複雑な問題点につき,決して借り物でない,執筆者の先生方が直接日々の診療活動の中で捉えた視点から述べていることは特筆されるべきであろう.
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