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編集後記
五ノ井 哲朗
pp.113
発行日 1980年1月25日
Published Date 1980/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106694
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文字どおり,80年代の巻頭に,「胃病変の時代的変貌」という主題が採り上げられたのは象徴的なことに思われる.中村教授の序説にもあるように,過去をふり返ってみることは,未来への展望を明らかにするのに有効な方法である.
しかし,従来,このような企画は,しばしば,昔語りや思い出話の域に止まって,必ずしも具体的に未来への展望につながらない憾みがある.その理由を我流に考えてみると,本号の座談会で梶谷先生が指摘されているように,「病変の見方が変った」という話に止まって,疾病そのものがどう変ったかという話にまで深まってゆかないところにあるのではないか.言い換えれば,臨床的変貌の現象を羅列するに止まって,その中から,疾病自体の変貌の破片を選り分け,掬い上げて,疾病の自然史を構想する試みに欠けていたということである.
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