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海外文献紹介「穿孔性消化性潰瘍の非手術的治療に対する無作為抽出法による検討」
松岡 聡明
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1愛知県がんセンター消化器内科
pp.1039
発行日 1989年9月25日
Published Date 1989/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106566
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A randomized trial of nonoperative treatment for perforated peptic ulcer: Crofts TJ, et al (N Engl J Med 320: 970-973, 1989)
穿孔性消化性潰瘍の患者に外科的治療を避けることができるかどうかを決定するために,著者らは臨床診断された穿孔性消化性潰瘍患者を対象として非手術的治療と緊急手術における成績について無作為抽出法で比較検討した.期間は1985年11月~1986年12月の13か月間で,入院した83人の患者に対して無作為に40例を選んだ.非手術治療には経静脈的輸液,経鼻吸引,抗生剤(セフロキシム,アンピシリン,メトロニダゾール)の経静脈投与とラニチジン投与が行われた.結果は患者40人のうち11例(28%)が12時間後臨床的な改善が得られず,手術が必要となったが,29例(72%)の患者では非手術治療が成功した.その11例の内訳は十二指腸潰瘍7例,胃潰瘍1例で,2例は穿孔した胃癌,残り1例はS状結腸癌の穿孔であった.他の43例の患者は緊急開腹手術が施行され,そのうち1人は穿孔した胃癌であった.死亡例は各々2例ずつで,全体の死亡率は,両群とも同様で5%であった.合併症の罹患率(感染,心不全,腎不全)も手術群40%,非手術群50%と明らかな相違はなかった.しかし,非手術群では入院期間がやや延長し,非手術群における70歳以上の患者は,40歳未満の若い患者に比べて治療に対する反応がより乏しかった.
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