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海外文献紹介「急性の重症大腸炎の治療における腸管安静の効果に関するコントロールトライアル」
松岡 聡明
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1愛知県がんセンター消化器内科
pp.596
発行日 1989年5月25日
Published Date 1989/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106466
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Controlled traial of bowel rest in the treatment of acute colitis: Mclntyre PB, et al(Gut 27: 481-485, 1988)
重症大腸炎は頻度は高くないが,危険性があり,緊急を要する場合は手術も必要である。重症大腸炎の内科的治療は副腎皮質ホルモンの静脈内投与と栄養補給であるが,栄養補給が粘膜の炎症を減少させるかどうかは興味深い問題である.禁食による腸管の安静という概念は理論的で,食物による物理的粘膜損傷や腸粘膜からの分泌,食事の抗原性を除くことにより炎症を起こしていた腸が,より早く治癒することが期待される.しかし,これまでに報告されたコントロールトライアルの結果では,今のところ腸管安静を奨励できるものはない.そこで,今回著者らは非感染性大腸炎の重症アタックを有する患者で腸管安静の効果を更に検討した.対象は47例(女性28例,男性19例)の急性重症大腸炎患者で,感染あるいは抗生剤による大腸炎の可能性のあるものを除き,大腸内視鏡あるいは大腸X線検査で診断した非特異的大腸炎であった.これを無作為に2群に分け,1群は高カロリー輸液(禁食群),他の1群は経口食(摂食群)で10日間管理した.なお両群ともpredonine 60mg/日(経静脈的に8時間ごとに20mg)が投与された.腹部単純X線で腸後拡張,穿孔を認めた症例と緊急手術が必要な出血例は除外した.
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