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海外文献紹介「高年者における下部腸管出血」
小林 世美
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1愛知県がんセンター第1内科
pp.518
発行日 1980年5月25日
Published Date 1980/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113464
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Lower Intestinal Bleeding in the Elderly: S.J. Boley,A.D. Biase,L.J. Brandt,R.J. Sammartano(American Journal of Surgery 137: 57~63,1979)
1960年Margulisが,大出血をおこした69歳の女性で,手術的血管造影で“Vascular malformation”(血管上の奇型)をみつけている.そこで著者らは,高年者で,盲腸のVascular ectasiaまたはAngiodysplasiaが,下部消化管出血の重要な原因であると述べている.65歳以上の人での下部消化管大出血を100例経験したが,その中に結腸憩室によるもの43例,それに次いでVascular ectasiaが20例あった.その診断根拠は,血管造影で右側結腸に病変を証明した.出血の再発は,憩室症よりectasiaの方が多かった.治療は,Vascularectasiaでは,自然止血はわずか2例で,一方,憩室症の31人が自然止血をみている.血管造影時にEpinephrineやVasopressinの注入が時に成果をあげる.憩室の11例とectasiaの18例で手術が行われた.憩室では,血管造影で出血部位を確認して部分切除をすれば,再発はない.ectasiaでは,16人が右半結腸切除術を受けた.
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