Japanese
English
今月の主題 食道のヨード不染帯
序説
食道のヨード不染帯
Introduction
幕内 博康
1
Hiroyasu Makuuchi
1
1東海大学医学部第2外科
キーワード:
ヨード不染帯
,
ヨード染色
Keyword:
ヨード不染帯
,
ヨード染色
pp.871-873
発行日 1994年8月25日
Published Date 1994/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105873
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食道領域の病変に対するヨード染色は,現在では広く一般に普及している.特に,食道早期癌の診断には欠くことのできないものとなっていて,本法を行わずしてその内視鏡所見を述べることは不可能とさえなってきている.
しかし,消化管内視鏡診断学大系第2巻(1974年,医学書院)にはルゴール法やヨード染色の記載は一言もなく,ヨード染色の写真も1枚も掲載されていない.このヨード染色の普及には1987年に発足した食道色素研究会の諸先輩,更に,その母体となった食道疾患研究会食道炎委員会の諸先輩の努力によるものである.もう1つ忘れてはならないことは,ヨード染色の普及は内視鏡の進歩によるところも大きいということである.食道の内視鏡が独立していて,食道鏡としてごく限られた専門家が施行していたころは,ヨード染色も一部のマニアによる趣味の範囲を出なかった.しかし,パンエンドスコピーの普及,特に,多賀須1),熊谷らがその開発に携わった細径パンエンドスコープが広く用いられるようになり,上部消化管の内視鏡検査の主流となって,一般の内視鏡医もルーチンに食道を観察するようになったことがヨード染色の普及に一層の拍車をかけた.種々の食道病変の発見に伴い,その良悪性の鑑別からヨード染色を行わざるを得なくなったためである.また,本号にも掲載されているような通常観察でわからず,ヨード染色で初めてはっきりするような食道上皮内癌の報告例の増加と共に,食道癌のhigh risk groupを中心にヨード染色によるスクリーニングも行われるようになってきている.
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