Japanese
English
今月の症例
2.直腸の粘膜脱症候群の1例
II. Mucosal Prolapse Syndrome of the Rectum, Report of a Case
斉藤 裕輔
1
,
垂石 正樹
1
,
榮浪 克也
1
,
野村 昌史
1
,
綾部 時芳
1
,
蘆田 知史
1
,
柴田 好
1
,
並木 正義
1
Yusuke Saito
1
1旭川医科大学第3内科
pp.606-608
発行日 1995年4月25日
Published Date 1995/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105396
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〔患者〕49歳,女性.主訴:肛門部不快感.既往歴,家族歴に特記すべきことはない.1970年ごろから肛門部に不快感を自覚していたが放置していた.1988年ごろから排便時に粘液の排出を認め,池田町立病院を受診,直腸ポリープと診断され手術を予定したが,悪性の確診が得られず痔の治療を行っていた.1993年9月から症状の悪化が認められたため,1993年11月22日当科に紹介入院となった.なお,排便時間は15~20分と長く,排便時のいきみも強い.
〔注腸X線所見〕下部直腸後壁側(病変A)と中部直腸前壁左側寄り(病変B)に2個の粘膜下腫瘍様隆起性病変を認める(Fig. 1).病変Aの隆起頂部にはバリウム斑を認め(Fig. 1,矢印),病変Bはなだらかな立ち上がりを示している(Fig. 2).直腸下部前壁側には病変Bから連続するように隆起性病変(病変C)を認める.病変Cは病変A,Bとはやや異なり,比較的明瞭な立ち上がりを有し,隆起頂部にはバリウム斑を認める.また,病変Cから後壁側へ延びる線状のバリウム斑と,その先端に皺襞集中を伴った,潰瘍と考えられる浅いバリウム斑(病変D)を認める(Fig. 3).明らかな偽憩室形成や縦走する索条の粘膜ひだの所見は認めない.
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