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編集後記
神津 照雄
pp.782
発行日 1997年4月25日
Published Date 1997/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105136
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本特集号を企画した意図は腫瘍の表面がヨード染色で染色されるか,あるいはわずかに一部分不染帯を呈する食道癌にはどのようなものがあり,その発育進展過程,診断,予後はどうかを読者に理解してもらうことであった.ごく頻度の少ないこの型の食道癌を取り上げたのは,食道粘膜切除術の局所再燃の原因解明への糸口へとの配慮もあった.主題症例を含め1例ずつ丁寧に見ていただければわかるように,特徴的な形態を呈することは明瞭である.
病理面からは期待した以上の解析がなされ,客観的な定義および発生過程推察まで迫ってくれた.X線診断,内視鏡診断の面からはその形態から組織診断まで可能との報告がなされた.超音波内視鏡では周囲の層構造からの連続性の分析と内部エコーのモザイクパターンの認識が大切であることが強調された.組織の断層像を描出できる特徴点が,現在の機種・画像からでも,粘膜下腫瘍様表在癌の特徴的な組織診断までは迫れないことには隔靴搔痒の感もある.しかし本邦でしか成しえないこれだけの精度の高い診断は,この分野の専門家たちの日々の真剣勝負の結果から生まれたものである.
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