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編集後記
神津 照雄
pp.252
発行日 1998年2月25日
Published Date 1998/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103591
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本号の特集は消化管病変に焦点を絞った“現状と展望”である.本特集を企画するに当たり,果たして本誌に相応しい画像として十分に表現できている状態なのだろうか,との不安もあった.しかし各論文を見る限り,1997年の第83回日消病総会以来,この1年間に大きな発展をみた.従来,X線,内視鏡,病理の画像を中心に特集が組まれてきた本誌であるが,ここでまた21世紀に向けて,新しいmodalityの礎ができてきたと痛感する.3D-EUSでは通常のprobeが使え,病巣の全体像が把握,volumeの計測,表面性状の描出などが利点と強調された.しかし,今後の大きな課題は指摘されているように心拍,呼吸の影響を受けない機器の改良・工夫である。ヘリカルCTに関しては画像の微細描出能はもう一歩の感もあるが,大きな利点は低侵襲性,高齢者などには有用性がある点である.しかし撮像時間は短くとも,その後の画像構築に多大な労力を要するのが,これからの解決点である.MR内視鏡では,提示された症例では画像の表現力はもう一歩の感もある.いずれにせよ,従来の二次元画像と違うのは,このmodalityで描出される画像は,どのような角度からの切り出しでも病変の表示ができる点である.このほか,画像処理,立体計測の展開も報告された.コンピューターを駆使した現状の三次元画像診断は明らかに21世紀へ向かって,その手法も改良され,普及することと期待される.しかし常に考慮すべきことは,低侵襲であり,患者に恩恵を与える検査法へと発展させることである.そう願いつつ,最新の画像が読者に大きなimpactと夢を与えることを期待する.
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