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書評「今日の治療指針1997年版―私はこう治療している」
中村 均
1
1千葉大学医学部附属病院
pp.516
発行日 1997年2月26日
Published Date 1997/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105089
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薬剤師法が一部改正され,本年4月から薬剤師は,調剤した薬剤の適正な使用のための必要な情報を患者に提供することが義務化された.患者に提供すべき情報とは,最近の医療環境および医療裁判の判例などから医薬品名,効能・効果,用法・用量,副作用,相互作用などの注意事項ならびに回避方法などが挙げられる.しかし,薬剤師がこれらの情報を的確に患者へ提供するためには,臨床の現場で医師がどのような治療方針を立て,薬物療法を行っているのかを理解することが必須となる.本書は初版発行以来,40年近く毎年刊行され,日本の保険診療に対応した現時点の最新・最高の治療法を収録した治療年鑑である.97年度版は943名の専門医が最新の知識に基づいて,966に及ぶ疾患項目を病態,病期,重症度に応じて,具体的にきめ細かく治療方針,処方例を提示しており,臨床に携わっている医師の薬物療法の意図が薬剤師へ明確に伝わってくる.また,付録として収載されている“抗生物質の使い方”,“抗癌剤の使い方”,“皮膚外用薬の使い方”なども使い方のポイントや副作用などが明快に解説されている.更に,保険適用の項目を中心に日常よく用いられるものを選んで一覧にした“基準値(正常値)一覧表”,頻用される医薬品の“副作用と相互作用の総説および,一覧表”,発行直前までの新規認可になった医薬品,発売予定の医薬品がすべて網羅された“治療薬使用の手引き”なども非常に便利であり,薬剤業務に直ちに活用できる.
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