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書評「臨床検査データブック1997-1998」
松澤 佑次
pp.1236
発行日 1997年8月25日
Published Date 1997/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105037
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日常診療において,疾病の診断および病態の把握に臨床検査は不可欠であり,今日でも,最先端の医学研究から得られた成果を基盤に新しい臨床検査が次々と開発されているのは周知のとおりである.その結果,保険診療が認可された項目だけでも1,000種以上に達するとのことである.臨床の場においてはこの中から必要最小限の検査項目を選び,適切な組み合わせで効率の良い検査情報を得て診断を行うとともに,更に,より厳選した項目をマーカーとして病勢の経過観察や治療効果の判定を行っていかなければならない.
しかし現実には不必要に過剰な検査を行ったり,必ずしも意義を理解せず新しい検査に飛びつく傾向がみられ,ときには検査づけなどと非難を受ける.この背景としては,診断の過程や病態の把握において病歴や理学的所見などの基本的な情報を軽視しがちで,データ優先主義となり,しかもデータについても系統的に分析する習慣がついていないことが挙げられる.
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