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書評「終末期の諸症状からの解放―Symptom Relief in Terminal Illness」
垣添 忠生
1
1国立がんセンター中央病院
pp.1415
発行日 2000年10月25日
Published Date 2000/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104896
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がんやエイズといった病気の終末期にあって,様々な症状で苦しんでいる人が,毎年,全世界で数千万人いる.この終末期の諸症状からの解放が達成できれば,患者さん自身はもちろん,家族も,医療者にとっても,その意義は計りしれない.
世界保健機関(WHO)が,「がんの痛みからの解放」を出版してから,WHOの三段階除痛ラダーという考え方は世界に広まり,この本は20以上の言語に翻訳され,50万部以上が購読されてきた.この本が出版されるとすぐ,その姉妹書に相当する本書「終末期の諸症状からの解放」が強く求められてきた.1989年,WHOの専門委員会が発足し,訳者の武田先生もその一員であった.この委員会は,日本を含む18か国から約50名の専門家に意見書の提出を求め,WHO方式のがんとう痛の臨床における緩和ケアの実践を勧告する報告書をまとめた.WHOは更に,イギリス,イタリア,カナダの3名の委員に草案の更なる編集を委ねた.これら専門家の協力と,多年にわたる国際協議の積み重ねの結果として,1998年,この指針が公表された.
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