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実体顕微鏡で観察される大腸腫瘍性病変の表面構造は病理学的診断と密接な関係があり,拡大内視鏡を用いると実体顕微鏡所見とほほ伺様の表面構造が観察可能であることから,拡大内視鏡検査は大腸腫瘍性病変における新たな診断方法として注目されている.一部では,実体顕微鏡による表面構造(pit pattern)の分類を拡大内視鏡検査に適用することで,ほとんどすべての腫瘍性病変の質的診断が可能とする考え方もある.そこで,拡大内視鏡を用いて施行した大腸内視鏡検査を検討し,拡大内視鏡からみたpit patternの意義について私見を述べてみたい.
まず,われわれの施設で1995年8月から1996年5月までの期間に,オリンパス社製CF-200Zを用いて施行した大腸内視鏡検査で発見された大腸上皮性腫瘍のpit patternと肉眼形態,病理組織診断の関係を提示する.拡大観察はインジゴカルミンあるいはクレシールバイオレット撒布後に行い,pit patternは多田ら1)の報告した実体顕微鏡分類を基に,円形(Type 1),管状(Type 2),脳回状(Type 3),微細(Type 4),荒廃(Type 5),および微細と円形の混在(mixed)の6群に分類した.また肉眼形態は,通常内視鏡所見で分類し,ⅠsとⅡa(側方進展の扁平隆起を含む)はまとめて検討した.その結果,腺腫192病変,早期癌21病変の計213病変で拡大内視鏡によるpit patternの観察が可能であった.Table1に各パターンの担癌率および肉眼型をまとめた.円型,管状および脳回状の表面構造は隆起型の病変に多く,そのほとんどが腺腫であった.微細型と混合型はⅠs,Ⅱaおよび表面陥凹型に多く認められ,担癌率はそれぞれ23%と27%であった.荒廃型を呈した病変はすべて癌であった.次に,早期癌21病変の深達度を各群で比較した(Table 2).mないしsm1癌15病変中11病変が微細ないし混合型であったが,sm2ないしsm3癌6病変中4病変は荒廃型と判断した.Fig. 1に荒廃型と判断したsm2癌を示す.
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