Japanese
English
今月の主題 微細表面構造からみた大腸腫瘍の診断
主題
“pit pattern”は大腸腫瘍の診断に有用か―私はこう考える
Is Pit Pattern Useful for Diagnosis of the Colorectal Tumor ?: My View
吉田 茂昭
1
Shigeaki Yoshida
1
1国立がんセンター東病院内科
キーワード:
拡大観察
,
実体顕微鏡
,
拡大内視鏡
,
pit pattern
,
鑑別診断
Keyword:
拡大観察
,
実体顕微鏡
,
拡大内視鏡
,
pit pattern
,
鑑別診断
pp.1397-1399
発行日 1996年10月25日
Published Date 1996/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104432
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1.拡大内視鏡における有用性の評価点
拡大観察の有用性を語る場合,通常内視鏡では捉えられない診断情報が何であるか,また,その情報にどれほどの診断学的な意義が存在するかを明らかにする必要がある.通常観察で見えない診断情報とは,言うまでもなくpit patternの把握である.pit patternの分類については諸家の報告があるが,最近では工藤の分類1)が最も一般的に用いられている.ここではその詳細を省くが,簡単に述べるとⅠ,Ⅱ型は非腫瘍性のpit,Ⅲ,Ⅳ型は腫瘍性のpit,Ⅴ型は深部浸潤のpitということになろう.また,肉眼形態との関連性で言えば,Ⅲs型は陥凹型,ⅢL型とⅣ型は隆起型に特徴的である.すなわち理論的には大腸病変の拡大観察は,①腫瘍・非腫瘍の鑑別診断,②陥凹・隆起の鑑別診断,③粘膜内病変・深部浸潤の鑑別診断に有用性が見いだせるということになる.
実体顕微鏡像下の検討成績をみると,これらのpit patternと最終診断との対応性は極めて良好であり,その診断精度に疑いの余地は少ない.問題は拡大内視鏡像との対応性であるが,当院の成績を含めて不一致例は少なく2),特に,色素内視鏡にcrystal violetを用いた場合には,実体顕微鏡所見とほぼ同質の所見が得られている.
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