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編集後記
芳野 純治
pp.848
発行日 2005年4月25日
Published Date 2005/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104279
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胃癌の内視鏡的切除法には粘膜病変を挙上して鋼線のスネアをかけ,高周波により焼灼切除するEMR従来法と,病巣周囲の粘膜を切開し,粘膜下層にて剝離切除する切開・剝離法がある.より大きな病変の一括切除を求めて,後者を用いた治療が注目されている.EMR従来法に対して,本邦が新たに発信する切開・剝離法に該当する英語表記が求められてきた.endoscopic submucosal dissection(ESD)が適切であるのか,定着するであろうかについては本号を企画する時点において明確ではなかった.また,“切開・剝離法(ESD)時代"という主題名については,EMR従来法を用いて治療している施設も多いことも考慮して検討が行われた.しかし,ESDは技術的な改善が進められながら,今後さらに広く用いられていくと期待されている.
一方,ESDを行うにあたり術前診断の重要性は言うまでもない.広く切除できるために,かえって安易な診断がなされる可能性があるのではないかと危惧される.治療が長時間に及ぶことがあることや,偶発症がEMRより多いことのほかに,基本的な問題をまずクリアする必要があろう.術前診断には従来のX線・内視鏡診断に加え,拡大内視鏡を含めた新しい方法があり,臨床の場において本号を参考にしていただければと願っている.
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