特集 図説 形態用語の使い方・使われ方
第Ⅱ部 検査手技・所見等の用語
c.病理・病変用語
癌肉腫(carcinosarcoma)
下田 忠和
1
,
落合 淳志
2
1国立がんセンター中央病院臨床検査部
2国立がんセンター研究所病理部
pp.418
発行日 1996年2月26日
Published Date 1996/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104090
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歴史的には同一腫瘍内に癌腫と肉腫が混在するcomposite tumorを癌肉腫と呼んできた.しかし癌肉腫の定義は臓器によって異なり,共通の定義はないのが現状である.すなわち子宮体部のmüllerian mixed tumorはhomologusな成分から成る癌肉腫とheterologusな成分から成る中胚葉混合性腫瘍(mixed mesodermal tumor)に分けられている.
一方,癌腫が肉腫様に変化することは,まれならず経験されるが,これは偽肉腫(pseudosarcoma)あるいは肉腫様の癌(carcinoma with sarcomatous change)と呼ばれ真の癌肉腫とは区別されてきた.この現象は特に扁平上皮癌で多くみられる現象で,組織学的には腫瘍細胞が紡錘形に変化することが特徴であり,squmous cell carcinoma with spindle cell variantsと呼ばれることが多い(Fig. 1).また,腺上皮系の腫瘍でも低分化型腺癌では,ときに腫瘍細胞が肉腫様に変化し,更に巨細胞(特に破骨型,osteoclast type)を伴う頻度が高い.これらはいずれもhomologus tumorで基本的には上皮性腫瘍であるとの観点から,“いわゆる”癌肉腫(so-called carcinosarecoma)と呼ばれてきた.
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