特集 図説 形態用語の使い方・使われ方
第Ⅱ部 検査手技・所見等の用語
b.X線・内視鏡所見用語
ひだの先細り(tapering of the fold)
川ロ 実
1
,
斉藤 利彦
1
1東京医科大学内科
pp.385
発行日 1996年2月26日
Published Date 1996/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104057
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陥凹型早期胃癌のうち粘膜ひだ集中を伴う病変では,粘膜ひだ上に特徴的な悪性所見を認める場合が多い.従来,①中断像(太まりもやせもせず中断しているもの),②先細り(やせ像;ひだの先端が急に細くなるもの),③腫大(ひだ先端部が腫大膨隆するもの),④段差(ひだの途中で段差がみられるもの),⑤蚕食像,が悪性診断指標とされてきた.このうち中断,蚕食像が出現率も高く,また,癌の浸潤境界と一致する率が高いと報告されている.ひだ集中を伴う病変においては古くから,潰瘍が先か,癌が先かの議論が行われてきた.その結果,現在では“潰瘍の癌化はないか,あったとしても極めてまれ”とされている.したがってひだ集中は,ひだ集中を伴わない浅い陥凹型癌巣中に消化性潰瘍が生じ,粘膜筋板が破壊され,粘膜下層に線維化が起こり,その結果,ひだ集中が起こると考えられる.すなわち,ひだ先端の中断像やひだが急に細くなる(先細り)部は陥凹型胃癌における癌細胞側方浸潤の先進部に一致する.したがって蚕食像の場合と同様に,癌が表面に露出すると容易にびらんが発生し,正常の粘膜より浅い陥凹を示すようになるが,これらの変化がひだの先端に生じたものが,ひだの中断,ひだの先細り(やせ像)である.
ひだの中断像,先細り(やせ像)と癌の浸潤範囲との一致率は特に未分化型腺癌に高い.分化型腺癌では背景粘膜の腸上皮化生による修飾のため不明瞭であることもある.
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