特集 図説 形態用語の使い方・使われ方
第Ⅱ部 検査手技・所見等の用語
b.X線・内視鏡所見用語
架橋ひだ(bridging fold)
渕上 忠彦
1
1松山赤十字病院消化器科
pp.337
発行日 1996年2月26日
Published Date 1996/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104009
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隆起周囲から隆起表面に向かい橋が架かるようになだらかに途絶せずに移行するひだのことを言う.上皮性腫瘍と非上皮性腫瘍との大きな鑑別点となる所見で,この所見が認められた場合はまず非上皮性腫瘍,粘膜下腫瘍(以下SMT)と考えてよい.ただし,まれであるが,癌が粘膜表層でなく粘膜下層以深に浸潤し腫瘍塊を形成した場合,または浸潤に伴い粘膜下にリンパ球の増生,線維化,または粘液産生などを伴った場合にはSMT様の外観を呈し架橋ひだを伴うことがある.このような場合には,両者の鑑別に迷う場合もあるが,その多くは潰瘍面などの,そのほかの所見を組み合わせれば鑑別は困難ではない1).いずれにしても,架橋ひだは組織構築上sm以深に腫瘍塊または炎症による限局性の肥厚が存在する場合に,それで形成された粘膜下に主座を置く隆起が周囲粘膜を引っ張り上げて形成される.
平滑筋肉腫の1例を呈示する.X線所見(Fig. 1)では,体上部後壁に立ち上がり明瞭な結節状の中心陥凹を有する隆起が認められるが,口側から隆起に向かう1条の架橋ひだが存在する.内視鏡所見(Fig. 2),切除標本(Fig. 3)でも隆起表面は粗大結節状で基部にくびれを有し,架橋ひだがなければ上皮性腫瘍との鑑別は難しい.
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