特集 図説 形態用語の使い方・使われ方
第Ⅱ部 検査手技・所見等の用語
b.X線・内視鏡所見用語
結節集簇様大腸病変(nodule-aggregating lesion of the colon)
多田 正大
1
1京都第一赤十字病院胃腸科,現 京都がん協会
pp.349
発行日 1996年2月26日
Published Date 1996/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104021
- 有料閲覧
- 文献概要
大腸ポリープのうち,腸管の水平方向に向かって発育し,背が高くならず扁平であり,表面が結節様ないし粗大顆粒様の凹凸を呈し,まるで絨毯を敷いたような形態を呈する病変が存在する(Fig. 1).病変の背丈は表面型大腸腫瘍よりやや高く,色調は白色を呈し,境界は不明瞭であり,色素撤布によって初めてその形状が正確に把握できることが多い.病変の一部に癌が共存していることもあるが,多くは病理組織学的にtubulovillous adenomaないしtubular adenomaであり,典型的なvillous tumorとは肉眼的にも組織学的にも異なる.
このような病変の名称として顆粒集簇様病変とかⅡa集簇様病変,花壇様隆起,creeping tumor,LST(laterally spreading tumor)などの表現が用いられてきた.いずれの表現も甲乙つけがたいが,名称の不一致は好ましくないため,「胃と腸」第27巻4号(1992年)において,これらの名称を統一して“結節集簇様大腸病変”としたのがこの用語の語源である.本症は第43回大腸癌研究会(浜松,1995年7月)でも主題テーマに取り上げられ,その臨床的・病理学的実態が討論されたが,まだ報告者の間で定義は一定でない節もみられる.また,表面が結節状ではなく滑らかな病変も存在すること,結節と顆粒の違いはどうか,表面型大腸腫瘍との鑑別は明確か,などの問題点も残されている.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.