特集 図説 形態用語の使い方・使われ方
第Ⅱ部 検査手技・所見等の用語
b.X線・内視鏡所見用語
鋸歯像,鋸歯状不整(serration,saw-tooth irregularity)
飯田 三雄
1
1川崎医科大学内科 消化器Ⅱ
pp.344
発行日 1996年2月26日
Published Date 1996/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104016
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鋸歯像は通常,大腸,小腸の炎症性疾患の急性期にみられるX線所見で,腸管の辺縁が鋸歯状に不整像を呈する場合に用いられる.粘膜下層の浮腫と痙攣性収縮を反映した所見と解釈され,短期間の経過観察によって消失する.
大腸では薬剤性大腸炎,虚血性大腸炎,感染性大腸炎,憩室炎,大腸放線菌症などで,小腸ではアニサキス症,虚血性小腸炎などでしばしば認められる.また,潰瘍性大腸炎,Crohn病,腸結核など慢性の炎症性腸疾患でも,多発する小潰瘍が側面像として捉えられ鋸歯状の辺縁不整像を呈する場合には,この用語が使われる.更に,大腸癌など悪性腫瘍による粘膜破壊像が辺縁の微細な突出像として描出される場合にも鋸歯像と呼ぶことがある1).
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