豆知識
架橋
pp.933
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905935
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固定とは,蛋白またはペプチドが不溶化することであり,架橋(cross-linkage)を原理とする方法と,凝固沈殿(precipitation)を原理とする方法とに大別される.前者には,アルデヒド,カルボジイミド,パラベンゾキノンなどが含まれ,後者には,アルコール,アセトン,酸などが含まれる.固定力と形態保持は架橋剤である前者が,高分子蛋白質の抗原性の保持については凝固沈殿剤の後者が優れている.
ホルムアルデヒドの蛋白質架橋による固定とは,主にホルムアルデヒドが蛋白と反応することであり,一般に活性水素を含む側鎖に作用する.ホルムアルデヒドは水溶液中では水和化し,メチレングリコールの形で存在している.このメチレングリコールと蛋白分子中の遊離アミノ基とが反応し,活性ヒドロキシメチル群が形成される.さらに活性ヒドロキシメチル群は,他の活性水素と凝結反応を生じ,ポリペプチド鎖間のメチレン結合を生じることで固定される.ホルムアルデヒドはまた,二硫酸塩を2つのスルフヒドリル基に置換し,これがホルムアルデヒドに反応してメチレン結合に関与する.遊離アミノ基がイオン化している場合(R-NH3+)は,ホルムアルデヒド分子との反応がないので,ホルマリン固定液のpHは,アミノ基のイオン化度が低いアルカリ性での条件下となる.
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