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胆管狭窄に対する内視鏡的処置には,胆道ドレナージ,バルーン拡張術などがあり,対象の良悪性の違いにより目的を異にする.悪性疾患の場合は,拡張自体を目的とするよりも減黄の効果が期待される.内視鏡的ドレナージは,切除予定例に対しては術前の減黄,また,切除不能例に対しては精神的,肉体的負担の少ない,quality of lifeの向上が目的となる.1976年,NagaiらはERCPを応用して,胆管内にカニューレを持続的に留置する方法を報告し,現在の胆管内洗浄を考慮した外瘻術(ENBD; endoscopic nasobiliary drainage)に発展した.また,1979年にSoehendraらはチューブステントの留置による内瘻術を開発し,現在ではEBD(endoscopic biliary drainage)として広く普及している(Fig. 1).経乳頭的アプローチは更に応用が進み,複数本のチューブステントの留置や,材料的にはメタリックステント(Neuhaus H,et al,1989),抗菌加工のチューブステント(Hoffman BJ,et al,1994)が開発されている.一方,経皮経肝的アプローチからはPTCS(percutaneus transhepatic cholangioscopy)による観察と共に,胆管内の温熱療法,腔内照射療法,レーザー治療が期待されている.
良性胆管狭窄に対する内視鏡的処置は,経乳頭的アプローチによる拡張用バルーンの使用(Fig. 2)や太径ステントの留置が施行される.また,拡張が不十分であるときは経皮経肝的アプローチによる拡張用バルーン(Burhenne HJ,1975)やダイレーターを順次使用し,PTCSチューブの挿入による拡張が施行される.良性疾患に対するメタリックステントの留置や,胆管結紮例に対する処置は今後の課題となっている.
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