レベルアップ講座 診断困難例から消化管診断学のあり方を問う
止血用留置スネアによる偶発症の1例
多田 正大
1
1京都第一赤十字病院胃腸科
pp.106-108
発行日 1996年1月25日
Published Date 1996/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103921
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消化管ポリープの内視鏡治療にあたって,大きい有茎性病変を切除する際,蜂巣らの考案した留置スネアを用いて,前もって止血操作を行ったうえで切除することは偶発症の予防に有効である.われわれも大腸の有茎性ポリープに対して留置スネアによる治療を試みた際,高周波スネアと留置スネアが絡まって離脱困難になった1例を経験したので報告し,その対策などについて討論してみたい.
症例 62歳,男性排便時に新鮮血下血を認めるようになったため当院を受診した.注腸X線検査を行ったところ,S状結腸に大きさ15mmの広基性ポリープ,および大きさ5mmの亜有茎性ポリープが指摘された(Fig. 1).内視鏡治療を行うためにスコープを挿入したところ,大きいポリープは分葉し,太い茎を有するポリープであることが判明した(Fig. 2).ポリープが大きく,治療にあたって出血することが危惧されたため,留置スネア(HX-20およびMH-477)でその基部を緊縛した後,切除を行うことにした.
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