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書評「大腸内視鏡挿入法―ビギナーからベテランまで」
酒井 義浩
1
1東邦大学医学部内科学
pp.1776
発行日 1998年12月25日
Published Date 1998/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103900
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昭和44年に大腸スコープが初めて市場に登場した時には,視野角60°,前方斜視10°,先端屈曲能up110°,down90°の2方向であり,続いて登場した4方向屈曲のスコープでさえ,左右に90°が可能になっただけの仕様であった.今から思えば天地の差と言うべきであり,これを使用して深部大腸に導くには,できるだけ送気して管腔を拡げて,管腔の中心を確認しながら,大きなループを形成して挿入する必要があり,更にはこれを補助するためのX線透視台や介助者を必要とした.田島の逆“の”字型挿入法も,こうした歴史的背景の中では必然であった.しかし今やスコープをはじめ周辺機器は進化し,技術のみが問われる時代になった.大腸癌に対する啓蒙と老人保健法による大腸癌検診の一時的助成とが受診人口を増やし続けている現在,“盲腸まで5分”は当然であり,そのためにはもたつきは罪悪でさえある.
本書はこのような状況で効率の良い,負担の少ない内視鏡のために,必須手技を技能別という新しい提案の下に助言する試みを展開している.冒頭で技量をレベル1から4まで分類し,その上にレベル5を設けて,レベル1・2を初心者,3・4を中級者,5を上級者とし,軸の軟らかいスコープを嫌って硬いスコープでの挿入を推奨している.
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