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“大腸疾患の診断に注腸X線検査は必要か?”の問いに対する私の答は,“必要”である.私は現在注腸造影検査を週5~6例と大腸内視鏡検査(colonofiberscopy; CF)を週約30~40例ほど担当しているが,両検査とも必要と感じている.しかし,実際にはどちらかを優先して行い,片方の検査のみで終了している場合が多い.外来でCFを優先して行うのは,急性および慢性の下血例や急性腸疾患を疑う例,大腸癌検診後の精査例,ポリープや癌の経過観察例,潰瘍性大腸炎の経過観察例などである.一方,注腸X線検査を優先するのは高齢者で大腸の検査が初めての例,婦人科領域を含めた腹部手術の既往のある例,過敏性大腸症候群を疑う例などである.
CFを選択する理由として,下血例では大腸癌を主とする腫瘍性疾患が多く組織診断を必要とする場合が多いこと,またポリープなどはCF時にポリペクトミーも行え完全生検と治療が同時に終了でき患者の負担が少なくてすむこと,更に出血源として痔疾などの出血も多いが,内視鏡により内痔核の観察なども行えること,などが挙げられる.急性腸疾患を疑う場合には,症状出現から短期に施行しないと確定診断が困難なことが多く,緊急検査としてCFを優先する機会が多い1).ポリペクトミー後や大腸癌治療後のサーベイランス例では,大腸腫瘍の再発見率が高く,発見される病変は,深部大腸に多く表面型腫瘍が多い2).注腸X線検査の腫瘍描出率は,深部大腸ほど悪く3),表面型腫瘍の拾い上げや描出においてもCFに劣っている.潰瘍性大腸炎の経過観察では下剤による病状への影響を避けるためにCFを行う.更に癌のサーベイランスを目的とした場合でも,組織の生検が重要なのでCFを優先している.
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