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書評「ヒトゲノムの遺伝学」―Principles of Medical Genetics,2nd ed.
阿部 達生
1,2
1京都府立医科大学
2京北病院
pp.1326
発行日 2001年9月25日
Published Date 2001/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103332
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このたび医学書院から出版された清水信義監訳「ヒトゲノムの分子遺伝学」は,初心者にも最先端の内容が十分理解できるように入念に配慮された優れた入門書である.
著者の一人,Francis Collinsらは,1989年,ポジショナルクローニングによって白人に多い囊胞性線維症(GF)の遺伝子をクローニング,塩基配列の決定から機能解析を一挙に行い,さらに,遺伝子診断で白人患者の70%で同じ突然変異(ΔF)が認められることを発見して報告し,世界を驚かせた.デュシェンヌ型筋ジストロフィーとハンチントン舞踏病でもあい前後して遺伝子が単離され,原因となる異常が同定された.これら3つの疾患でなされた研究のストラテジーと成果は人類遺伝学史上,長く記憶にとどめられるものであり,その後に展開したヒトゲノム計画の推進力になったと思われる.
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