Japanese
English
今月の主題 胃型の分化型胃癌―病理診断とその特徴
序説
胃癌の粘液形質からみた新しい考え方
Introduction
下田 忠和
1
Tadakazu Shimoda
1
1国立がんセンター中央病院臨床検査部病理
キーワード:
分化型癌
,
未分化型癌
,
胃型腺癌
,
腸型腺癌
,
粘液形質
Keyword:
分化型癌
,
未分化型癌
,
胃型腺癌
,
腸型腺癌
,
粘液形質
pp.475-476
発行日 1999年3月25日
Published Date 1999/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103001
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- サイト内被引用 Cited by
本号は胃型腺癌の特集である.突然のごとくこの耳慣れない言葉が誌上に現れ,戸惑っている読者もいると思われる.この胃型腺癌を理解するために少し,胃癌の組織型分類とその病理学的背景を述べ,そのうえでこの概念の意味するところとなぜ本誌でこのテーマを取り上げたのかについて解説する.
従来,胃癌の組織型は中村により分化型癌と未分化型癌に大きく二分類され,その臨床病理学的相違と特徴が明らかにされてきた.また,その分類は画像および内視鏡診断にも大きな寄与をしてきた.それと同時に病理学的には,“分化型癌は腸上皮化生あるいはそれに関連した粘膜”に,“未分化型癌は胃固有粘膜から発生する”とされてきた.また同様の考え方は欧米でもなされ,Lauren分類では胃癌の組織型はintestinal type and diffuse typeに分けられてきた.そしてintestinal typeは腺管形成の良好な癌で,中村の分化型癌に対応し,その発生は腸上皮化生-dysplasia-cancerとされている.またdiffuse typeは中村の未分化型癌に対応し,腺管を形成せずびまん性に浸潤する癌とされている.しかし,以前から噴門腺領域(接合部癌を含めて)の多くは腸上皮化生のみられない粘膜に発生した分化型腺癌で,また頻度は低いが萎縮のない胃底腺粘膜にも分化型腺癌が発生することが知られていた.これら腸上皮化生との関連性が極めて薄い分化型腺癌で,それと通常の分化型腺癌との違いは明らかにされていない.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.