Japanese
English
今月の主題 胃型早期胃癌の病理学的特徴と臨床像―分化型癌を中心に
序説
胃型早期胃癌
Introduction
小野 裕之
1
Hiroyuki Ono
1
1静岡県立静岡がんセンター内視鏡部・消化器内科
キーワード:
分化型癌
,
胃型腺癌
Keyword:
分化型癌
,
胃型腺癌
pp.671
発行日 2003年4月25日
Published Date 2003/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403100859
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本号の主題は,「胃型早期胃癌の病理学的特徴と臨床像」である.“胃型腺癌”については,「胃と腸」第34巻4号「胃型の分化型胃癌―病理診断とその特徴」に主題として取り上げられたときに初めて耳にした読者も多かったと思われる.この胃型の粘液形質を有した分化型癌は,臨床病理学的に腸型とは区別すべきと考えられており,このときには主として病理学的な特徴を明確にすることが試みられた.
今,分化型胃癌の形質発現の問題が注目される理由は2つある.1つは胃癌の増殖進展に伴って,組織型が変化する場合は胃型の形質を有する分化型癌から有意に低分化型癌に変化する可能性が推定されるためである.下田らは10mm以下の早期癌では86%が純粋な分化型腺癌であるが,10mm以上では未分化型,混合型が増加することを示している1).もう1つの理由は,分化型胃癌の中に生物学的悪性度の高い癌が存在する点であり,胃型の癌の一部がこれに該当する可能性が高いと思われるためである.これらの問題について明確な解答が得られるならば,従来の分化型癌と未分化型癌の2つに大別されている胃癌の分類を,新たな視点から分類可能となり,治療のstrategyも変わりうる.例えば,10mm以下の分化型腺癌の中に,進展すると未分化型癌になるものがあり,術前診断が可能となれば,そのような病変に対してEMR(endoscopic mucosal resection)を行う際には,遺残のない,一括切除が必要条件になるかもしれないのである.
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