Japanese
English
今月の主題 Barrett上皮と食道腺癌
主題症例をみて
Barrett上皮と食道腺癌―主題症例をみて:病理の立場から
On Reviewing the Case Reports of Esophageal Adenocarcinoma Arising in Barrett's Esophagus
渡辺 英伸
1
Hidenobu Watanabe
1
1新潟大学医学部第1病理
キーワード:
Barrett食道
,
Barrett食道癌
,
形態発生
,
生検診断
Keyword:
Barrett食道
,
Barrett食道癌
,
形態発生
,
生検診断
pp.225-227
発行日 1999年2月25日
Published Date 1999/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102964
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はじめに
Barrett食道では,食道胃接合部(esophagogastric junction; EGJ)の同定や平坦型ないしそれに近い0-Ⅱa型・0-Ⅱc型癌の診断がX線検査や内視鏡検査ばかりでなく,切除標本観察でも困難であることがわかる.Barrett食道におけるEGJの同定に,内視鏡検査で縦走血管が消失する像(食道粘膜に特徴的な像)が指標となるとされている1).更に,Barrett食道腺癌のうち,通常の術前検査では診断が困難である癌でも,その診断に拡大内視鏡検査(クリスタルバイオレット染色併用も含む)が有用であることが示された.すなわち,拡大内視鏡検査で,Barrett食道の非腫瘍部にみられる細長い腺溝模様が消失して無構造となった領域が腺癌の存在を示唆する所見と報告している2).この方法は,将来,Barrett食道腺癌の早期発見に有用な手段となることが期待される.
上述のような背景を考慮しながら,主題症例をみた感想を病理学的視点から述べてみたい.
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