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今月の主題 Ⅱ型早期大腸癌肉眼分類の問題点
主題
早期大腸癌肉眼分類―私の診断基準
Issues in Macroscopic Classification of Early Colorectal Carcinoma: My Criterion in Diagnosis
藤井 隆広
1
Takahiro Fujii
1
1国立がんセンター中央病院内視鏡部
pp.24
発行日 1999年1月25日
Published Date 1999/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102922
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肉眼分類を決定する際には,まず,どの診断法肉眼分類による所見を優先すべきかが問題となる.一般に,最終肉眼診断は切除標本上の判定に従うこととされているが,早期癌の多くは分割切除を含めた内視鏡切除が適応されることが多く,すべての病変を切除標本上で判定することは困難である.また,組織ルーペ像を肉眼分類判定の参考所見とすることも考えられているが,半月ひだ上に存在する表面型腫瘍では,隆起型として判定されてしまうことや,腫瘍巣に対する割線の位置によっては,同一病変でありながら肉眼型が異なって診断されることもまれではない.このため,筆者らは早期大腸癌の肉眼形態分類については,内視鏡による判定が最も妥当であると考えている.この場合,所見の再現性が問題となるが,十分な送気の下で腸管が伸展された状態を判定可能な条件としている.
肉眼分類は単純明快で,かつ各病変の病態を正確に情報提供できるものでなければならない.このような視点から,筆者らはⅡa,Ⅱa+Ⅱc,Ⅱb,Ⅱcを基本型とし,工藤らが提唱するⅡa+depやⅡc+Ⅱaについては前者をⅡaに,後者はⅡcに含めている(Fig.1).陥凹を伴う病変については,側面視に近い状態で,その陥凹の深さからⅡa+ⅡcとⅡcの診断基準としている.また,Ⅱc+Ⅱaについては早期胃癌における佐野の解釈に準拠し,Ⅱc局面の片側にⅡa型隆起を伴うものとし,同様にⅡc+Ⅰ(p,sp,s)などの複合型についても同様に取り扱っている.また,Ⅰ(s,sp,p)+Ⅱcについては,Ⅱa+Ⅱcの形態的特徴像に準拠し,Ⅰ型隆起の頂部に陥凹局面を有するものとしている.
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