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はじめに
今回は悪性リンパ腫の鑑別について解説する.
悪性リンパ腫の分類としては,形態に加えて臨床像,免疫組織化学染色,染色体検査,遺伝子解析が加味され,発生分化および分子生物学的観点から,リンパ腫を疾患単位として分類し,治療に有用な分類が行われている(Table 1)1).新WHO分類が,免疫組織化学染色,染色体検査,遺伝子解析の特徴に立脚した分類とはいえ,診断の第一歩は形態診断によることが多い.まずは,Hodgkinリンパ腫にみられる巨細胞の有無,次に結節性病変かびまん性病変かの判定,さらに細胞の大きさが形態診断においてはポイントとなる.非Hodgkinリンパ腫は発生分化により,前駆型と分化型に分かれる.さらに免疫組織化学染色法により,各々は,B細胞型,T細胞型〔分化型の場合はNK(natural killer)細胞を含む〕に分けられる.
分化型(抹消型)B細胞性のものは,形態に加え,臨床像,免疫組織化学染色,染色体検査,遺伝子解析が加味され,分子生物的観点から,疾患単位が列挙されている.Fig. 1で示すように,B細胞の分化マーカーはかなり解析されており,免疫組織化学染色を組み合わせることで,分化段階がわかると分類しやすくなる.例えば,汎B細胞マーカーのCD20陽性で,胚中心マーカーのCD10,bcl6陽性であると,濾胞中心由来が考えられ,Burkitリンパ腫,濾胞性リンパ腫,びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫のどれかになる.一方,T細胞の分化マーカーはいまだ発展途上である(Fig. 2).分化型(抹消型)のT/NK細胞性リンパ腫は,形態的にも小細胞,大細胞,未分化大細胞と多岐であり,免疫表現型,遺伝子型においても疾患単位は,多岐であり,B細胞性リンパ腫とは異なり,むしろ疾患単位というより症候群にとどまっている.
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