形態診断に役立つ組織化学・分子生物学
―悪性リンパ腫の診断―免疫組織化学染色(1):リンパ球・組織球・造血器腫瘍と他細胞系腫瘍の鑑別
大島 孝一
1
1久留米大学医学部病理学教室
キーワード:
悪性リンパ腫
,
免疫組織化学染色
,
T/NK細胞
,
B細胞
Keyword:
悪性リンパ腫
,
免疫組織化学染色
,
T/NK細胞
,
B細胞
pp.282-286
発行日 2010年2月25日
Published Date 2010/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403101859
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はじめに
悪性リンパ腫の分類は,分子生物学の進歩を反映した分類が提唱されている.これは,形態に加え,臨床像,免疫組織化学染色,染色体検査,遺伝子解析が加味され,発生分化および,分子生物学的観点から分類される.悪性リンパ腫は,B細胞性リンパ腫,T/NK細胞性リンパ腫,そしてHodgkinリンパ腫に3分され,さらに免疫不全関連リンパ増殖異常症,組織球・樹状細胞腫瘍が大項目として含められている.また,B細胞性リンパ腫,T/NK細胞性リンパ腫は,さらにそれぞれ前駆型(precursor)と成熟型(mature)に分けられている(Table 1)1).Table 1のように,子細な分類となった背景には,従来の形態診断のみでは,分類不能であったが,その後の免疫組織化学染色,染色体検査,遺伝子解析の進歩により,独立疾患として認識できるようになった疾患単位の出現がある.今回は,免疫組織化学染色を主体に診断までの流れを解説する.
診断に当たっては,リンパ球・組織球・造血器腫瘍と他細胞系腫瘍のどこに起源があるかが重要になる.(1)リンパ球・組織球・造血器腫瘍と他細胞系腫瘍の鑑別,(2)リンパ球・組織球・造血器腫瘍の鑑別(次号掲載),(3)悪性リンパ腫の鑑別(次々号掲載),以上の流れで解説を行いたい.
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