--------------------
書評「外科臨床と病理よりみた 小膵癌アトラス」
今村 正之
1,2
1京都大学
2大阪府済生会野江病院
pp.110
発行日 2007年1月25日
Published Date 2007/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403101034
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
膵癌は難治癌の代表格であり,しかも手術でしか根治を期待できなかった癌の1つである.外科医が多年にわたり,手術法の改良に努めてきたために,膵癌切除術は安全な手術になったが,切除後の生存曲線は芳しくない.化学療法としてgemcitabineが登場して以来,膵癌に対して化学・放射線照射療法の有効であったとする報告が増えつつあるが,長期生存の向上に関してはさらなる新薬の開発が待たれるところである.現状では膵癌の長期生存者を増やすためには,早期診断で小膵癌を見つけて,早期に切除手術するのが本道である.いかにして小膵癌を見つけるか,これが膵癌臨床医の長年の課題である.
このたび九州大学臨床・腫瘍外科の田中雅夫教授と山口幸二助教授が出版された本アトラスには,様々な経過で見つけられた小膵癌患者の興味深い症例の記録が集積されている.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.