書評
臨床と病理よりみた膵癌類似病変アトラス CD-ROM付
中尾 昭公
1
1名大大学院・消化器外科学
pp.188
発行日 2008年3月15日
Published Date 2008/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1428100033
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このたび,医学書院より出版された,山口幸二先生・田中雅夫先生共著の『臨床と病理よりみた 膵癌類似病変アトラス』を一読する機会に恵まれた.前著『外科臨床と病理よりみた 小膵癌アトラス』に引き続きその姉妹編として出版されたものである.近年,各種画像診断の進歩によって膵腫瘍が発見される機会が増加している.もちろん,いかに膵癌を早く発見,診断し,治療に結びつけるかが最重要課題であるが,膵癌の早期発見をめざす場合,時として膵癌との鑑別診断に難渋する症例も経験される.
本書では膵腫瘍としては稀な腫瘍も含めて,これらの病変を体系的にまとめたアトラスとして完成されている.一般に外科医は手術に対しては興味を持つが,画像診断や地味な切除標本の取り扱い,整理,病理診断に対してはその結果をうのみにするだけで興味が薄いといえるかもしれない.しかし本書においては,九州大学臨床・腫瘍外科学(旧第一外科)教室の,初期診断から最終病理診断そして治療に至るまで,臨床外科医として一貫した診療姿勢に徹すべきであるというポリシーが窺われる.
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