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2004年7月の早期胃癌研究会は7月23日(金)に新高輪プリンスホテル国際館パミール3階「北辰」で開催された.司会は小山恒男(佐久総合病院胃腸科),工藤進英(昭和大学横浜市北部病院消化器センター)が担当した.mini lectureは「十二指腸・小腸のびまん性病変の鑑別診断:臨床と病理の比較検討の重要性」と題して多田修治(済生会熊本病院消化器病センター)が行った.
〔第1例〕 53歳,男性.食道扁平上皮癌(症例提供:都立駒込病院内視鏡科 遠藤純子).
読影はX線,内視鏡ともに平澤(仙台市医療センター消化器内科)が担当した.X線ではMt,前壁の辺縁隆起を伴う陥凹性病変で肛門側に付着むらを伴うことから約3cm大の0-IIa+IIc型の扁平上皮癌で,隆起が目立つが側面変形が乏しいため深達度m3からsm1と診断した.小沢(わたり病院消化器科)は肛門側のIIc伸展はなく約1cm大のIIa+IIcで,隆起が目立つため深達度sm2~3と診断した.また,側面変形が少ないことから柔らかい腫瘍と考えられ組織型は特殊型であると診断した.内視鏡では大きさ約1cm大の辺縁隆起を伴う陥凹性病変(Fig. 1)で空気量を減じても堅さがあった.陥凹内に不整な結節もあり,拡大観察にてIPCL(intra-papillary capillary loop)は破壊されavascular areaもあることから深達度sm2と診断した.井上(昭和大学横浜市北部病院消化器センター)は通常観察では厚みもありsm2と診断するが,拡大観察での血管パターンはVI程度でありm3~sm1程度と判断され,総合的にsm2と診断するとコメントした.
病理解説は河内(都立駒込病院病理)が行い,12×10mm大の0-IIc型扁平上皮癌で深達度は辺縁部でm3,中央部でsm2であり,ly陽性であったがリンパ節転移はなかったと解説した.細井(霞ケ浦成人病研究事業団)はX線の読影に関して解説し,空気量を変化させても形が変わらないため,smに浸潤した癌と読めるが,側面変形が軽度であった原因として病変が小さく,正確な正面像の撮影が困難であったことが考えられると解説した.小さいながら深部浸潤した悪性度の高い癌の典型症例であった.
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