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大腸内視鏡で側方発育型腫瘍(laterally spreading tumor ; LST)を発見した場合,通常観察や拡大観察による表面構造の詳細な観察,超音波内視鏡を適時施行し組織型や深達度の評価を十分に行ったうえで,術前評価により内視鏡治療で根治が期待できる症例に関しては積極的に内視鏡治療を行っている.内視鏡治療は手術療法と比較して低侵襲であることが大きなメリットである.実際内視鏡治療を選択する場合,第一に安全であり次に確実な治療効果が期待できる点が重要であると考える.確実な治療効果を期待する症例は,基本的には内視鏡治療で根治する症例である.また,確実な治療効果を期待するという点を広い意味で解釈すると,内視鏡治療を行い切除された病変を詳細に検討したところ脈管侵襲などの所見があり追加腸切除を行った場合も,最終的には根治が期待できる治療が選択できたことになる.もちろん,術前に診断技術を駆使することにより,外科的腸切除が必要な症例をできるだけ選別するよう努力することは言うまでもない.逆に,安全性を欠いた(すなわち合併症の多い)内視鏡治療や,局所再発の多い内視鏡治療,あるいは切除標本を詳細に観察しても根治性の有無が確実に判定できない内視鏡治療などは避けるべきである.早期胃癌において,ESD(endoscopic submucosal dissection)による病変の一括切除を目指した内視鏡治療の重要性は広く認識されている.一方,大腸LSTに対する内視鏡治療法として,ESDを用いた病変の一括切除法と,スネアリングによる分割切除法(特に計画的分割切除法)がしばしば比較される.安全性に関しては,ESD治療による大腸穿孔は一般に頻度が高く,克服すべき重要な問題である.ただし,最近の学会,研究会における報告では,ESD治療に熟達した専門施設における成績は,われわれの施設も含め適切な手技により安全性確保が可能であることを示している.一方,分割切除は従来局所再発率が多いことが問題視されていたが,最近の報告ではこの点も改善されつつある.
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