増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
免疫学的検査
免疫血液学的検査
血液型検査—ABO型,Rh(D)型
松本 美富士
1
1名古屋市立大学医学部附属病院輸血部
pp.646-648
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909974
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検査の目的・意義
輸血後肝炎,AIDS,HTLV-Iなどの感染症,GVHD(graft versus host disease)などの輸血に伴う新たな副作用の発生などを背景に,輸血医療に対して現在ほど医学的のみならず,社会的にも問題とされる時代はない.安全かつ効率的な輸血療法を行うため血液型検査は必須である.その検査法,意義を理解し,決して血液型不適合輸血を発生させない必要がある.ちなみに米国FDAの集計では,1976年から10年間の輸血事故死について報告しているが,総数355名中,輸血と直接関係のない99名を除く256名のうち,131名(51%)がABO不適合事故死である1).
赤血球の溶血反応による副作用,赤血球寿命の短縮による輸血効率の低下を防止するため,輸血は血液型の一致した同型輸血が原則である.しかし,血液型には多数の種類があり,人種によってその分布に大きな差異がみられ,患者では妊娠や過去の輸血によって,ABO型を含めた各種血液型に対する不規則性抗体が存在する可能性がある.
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