今月の主題 膵疾患と臨床検査
解説
腫瘍マーカーの組織分布・3 CA19-9
川 茂幸
1
,
長谷部 修
1
,
小林 武司
1
,
小口 寿夫
1
Shigeyuki KAWA
1
,
Osamu HASEBE
1
,
Takeshi KOBAYASHI
1
,
Hisao OGUCHI
1
1信州大学医学部第二内科学教室
キーワード:
CA19-9
,
組織分布
Keyword:
CA19-9
,
組織分布
pp.1090-1092
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916869
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1.はじめに
CA19-9は,1979年Koprowskiらにより報告された糖鎖性腫瘍マーカーであり,膵癌など消化器癌の診断に有用である1).血液型物質ルイスAにシアル酸が付加した構造であり(図1),ルイス式血液型陰性の個体では産生が低下している.したがって組織局在を検討する際には,本抗原の発現には遺伝的に規定される個体差が強く存在することを考慮する必要がある.糖蛋白,糖脂質両方の形で存在し,血清中で測定されるのは主に糖蛋白である.組織中では糖脂質とされているが,糖蛋白との報告もある.本抗原は各種組織固定法による影響を受けにくく,ホルマリン固定,パラフィン包埋による組織切片を用いた染色が多く報告されている.
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